🚨 重要なお知らせ
- ✓ 2025年5月14日:改正労働安全衛生法が公布
- ✓ 労働者数50人未満の事業場もストレスチェック実施が義務化
- ✓ これまでの「努力義務」から「義務」に変更
- ✓ 施行日:公布日から政令で定める3年以内の日(最長2028年5月まで)
- ✓ 事業場規模にかかわらずすべての事業場が対象に
1. 2025年法改正の詳細
📜 改正労働安全衛生法の概要
🔴 最重要ポイント
令和7年(2025年)5月14日に改正労働安全衛生法が公布され、これまで「努力義務」だった労働者数50人未満の事業場へのストレスチェック実施が「義務」となりました。
🗓️ 法改正の経緯
| 時期 |
内容 |
| 平成27年(2015年) |
ストレスチェック制度開始 • 50人以上:義務 • 50人未満:努力義務 |
| 令和7年(2025年)5月14日 |
改正労働安全衛生法公布 • 50人未満も義務化 • 事業場規模にかかわらず義務化 |
| 施行日 |
公布日から3年以内に政令で定める日 (最長:2028年5月13日まで) |
🎯 法改正の背景
- 精神障害の労災支給決定件数が増加傾向
- 小規模事業場でも多数のメンタルヘルス不調が発生
- 事業場規模にかかわらずメンタルヘルス対策が課題
- 未然防止(一次予防)の強化が急務
💡 重要な変更点
• 努力義務 → 義務化:50人未満の事業場も実施が必須に
• 施行までの猶予期間:最長3年の準備期間あり
• 報告義務は依然として50人以上のみ:50人未満は労働基準監督署への報告は不要
• 集団分析・職場環境改善:引き続き努力義務
2. ストレスチェック制度とは
🎯 制度の目的
- メンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)
- 労働者自身のストレス気づきの促進(セルフケア)
- 職場環境改善を通じた働きやすい職場づくり
⚠️ 注意
ストレスチェック制度は「メンタルヘルス不調者の発見」が目的ではありません。あくまで「未然防止」が主な目的です。
📊 データで見る制度の効果
- ストレスチェック受検者の約70%が「自身のストレスが分かったことが有効」と回答
- メンタルヘルス不調による休職期間は平均約3ヶ月
- 復職後、約半数が再び休職するリスク
- 適切な対策により生産性向上・人材定着・企業価値向上につながる
🌟 小規模事業場にとっての意義
✅ 小規模事業場こそメリット大
1. 人材不足への対策
1人でも休職・離職すると事業への影響が大きい中小企業こそ、メンタルヘルス対策が重要です。
2. 生産性の向上
働きやすい職場環境の実現が、生産性向上・人材定着につながります。
3. 企業イメージの向上
従業員の健康を大切にする企業として、採用力強化にもつながります。
4. 経営リスクの軽減
メンタルヘルス不調による休職期間は平均3ヶ月。未然防止がコスト削減になります。
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3. 実施義務の対象範囲
✅ 対象となる労働者
ストレスチェックの対象者となる「常時使用する労働者」とは、以下のいずれの要件も満たす者です(一般定期健康診断の対象者と同様):
①契約期間の要件
- 期間の定めのない労働契約により使用される者
- または、契約期間が1年以上の者
- または、契約更新により1年以上使用されることが予定されている者
- または、1年以上引き続き使用されている者
②労働時間の要件
- 1週間の労働時間数が、同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上
💡 推奨
1週間の労働時間数が通常の労働者の4分の3未満でも、2分の1以上の労働者に対しても、ストレスチェックを実施することが望まれます
👥 派遣労働者の取扱い
⚠️ 重要
派遣労働者に対するストレスチェックは、派遣元に実施義務があります(一般定期健康診断と同様)。
📝 実施義務・努力義務の整理
| 項目 |
50人以上 (改正前から) |
50人未満 (2025年法改正後) |
| ストレスチェック実施 |
義務 |
義務(努力義務から変更) |
| 面接指導 |
申出あれば義務 |
申出あれば義務 |
| 集団分析 |
努力義務 |
努力義務 |
| 職場環境改善 |
努力義務 |
努力義務 |
| 労働基準監督署への報告 |
義務(罰則あり) |
不要 |
4. 実施の具体的な手順
📅 ストレスチェック制度実施フロー
【準備フェーズ】
① 事業者による基本方針の表明
② 関係労働者の意見聴取
(実施方法、調査票、高ストレス者選定基準などを協議)
③ 社内規程の作成・労働者への周知
【実施フェーズ】
④ 実施者の選任(医師・保健師等)
※外部委託が推奨
⑤ ストレスチェックの実施(年1回以上)
⑥ 結果の本人への直接通知
(実施者から直接、本人のみに通知)
⑦ 高ストレス者の選定
⑧ 本人から申出があった場合、医師による面接指導
⑨ 医師から事業者への意見聴取
⑩ 就業上の措置(必要に応じて)
(時間外労働の制限、配置転換など)
【分析・改善フェーズ】
⑪ 集団分析の実施(努力義務)
⑫ 職場環境改善(努力義務)
⑬ 記録の保存(5年間)
⑭ 労働基準監督署への報告
※50人以上の事業場のみ
🔍 実施者の要件
ストレスチェックを実施できるのは、以下の資格者のみです:
- 医師
- 保健師
- 厚生労働大臣指定の研修を修了した下記の者
⚠️ 重要な制限
解雇・昇進・異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者(人事権者)は、実施の事務に従事できません。これはプライバシー保護のための重要な規定です。
📋 調査票の種類
推奨:職業性ストレス簡易調査票
調査票の必須要素(3領域)
| 領域 |
内容 |
項目数(57項目版) |
| A:仕事のストレス要因 |
職場における心理的な負担の原因 |
17項目 |
| B:心身のストレス反応 |
心身の自覚症状 |
29項目 |
| C:周囲のサポート |
他の労働者による支援 |
9項目 |
🎯 高ストレス者の選定基準
以下の①または②のいずれかを満たす者を高ストレス者として選定:
①心身のストレス反応が高い
- 「B:心身のストレス反応」の合計点数が77点以上(57項目版の場合)
②総合的にストレスが高い
- 「B:心身のストレス反応」が63点以上
- かつ「A:仕事のストレス要因」+「C:周囲のサポート」が76点以上
💡 実務のヒント
高ストレス者の選定基準は、関係労働者の意見聴取を経て事業場ごとに設定できます。上記は標準的な例です。目安として、全体の約10%程度が該当する設計が一般的です。
5. 外部委託のメリットと選び方
🏢 外部委託が推奨される理由
💡 小規模事業場では外部委託が強く推奨
労働者数50人未満の事業場においては、原則として、労働者のプライバシー保護の観点から、ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが推奨されます。
なぜ外部委託が必要なのか?
| 課題 |
社内実施の問題点 |
外部委託の解決策 |
| プライバシー保護 |
小規模事業場では人間関係が近く、結果が経営者に知られる不安が生じやすい |
✓ 第三者機関による厳格な情報管理 ✓ プライバシーマーク等の認証体制 |
| 専門性 |
資格者の確保が困難 法令遵守のノウハウ不足 |
✓ 有資格者(医師・保健師等)による実施 ✓ 法令に完全準拠した運用 |
| 実務負担 |
調査票の準備・配布・回収 集計・分析作業の負担 |
✓ すべての実務をアウトソース ✓ 本業に集中できる |
| 集団分析 |
10人未満の集団で個人特定のリスク 自社で管理すること自体への労働者の不安 |
✓ 自動的に個人特定防止措置 ✓ システム化された安全な集計 |
| 記録保存 |
5年間の保存義務 セキュリティ対策 |
✓ 専門機関による安全な保管 ✓ セキュリティ基準の遵守 |
✅ 外部委託先の選定チェックポイント
1. 体制・資格
- 有資格者(医師・保健師等)が在籍しているか
- 実施事務従事者の体制は整っているか
- 守秘義務の教育・誓約書の取得をしているか
2. サービス内容
- 調査票の種類・配布方法
- 結果の通知方法(本人直接通知の確実性)
- 高ストレス者選定の方法
- 集団分析の実施範囲
- 面接指導の手配(オプション含む)
3. 情報管理体制
- プライバシーマーク等の認証取得
- データ保管方法・保管期間(5年間)
- アクセス制限の方法
- 個人情報の取扱規程
4. サポート体制
- 社内規程のひな形提供
- 労働基準監督署への報告サポート(50人以上の場合)
- 職場環境改善のアドバイス
5. 料金体系
- 従業員数に応じた明確な料金
- 追加オプションの料金
- 面接指導費用の有無
📝 推奨アクション
外部委託先の選定に当たっては、「サービス内容事前説明書」を作成・提出してもらい、複数社を比較検討することをおすすめします。
6. 費用負担と実施頻度
💰 費用負担
🔴 重要
ストレスチェック及び面接指導の費用は、すべて事業者が負担しなければなりません。労働者に一切負担させることはできません。
費用の目安
- ストレスチェック実施費用:1人あたり500円〜1,500円程度(委託先により異なる)
- 医師による面接指導:1回あたり10,000円〜30,000円程度
- 集団分析レポート:オプションで20,000円〜50,000円程度
※あくまで目安です。サービス内容により変動します。
⏰ 実施頻度
年1回以上の実施が義務
実施時期の決め方
- 毎年同じ時期に実施するのが一般的
- 新入社員の入社時期や繁忙期を避ける
- 定期健康診断と同時期に実施する企業も多い
💵 賃金の支払い
ストレスチェック受検時間
- 法律上、賃金支払い義務の明確な規定はない
- ただし、一般健康診断に準じた取扱いが望ましい
- 労働時間内に実施することが推奨される
面接指導の受診時間
- 労働時間内に実施することが望ましい
- 労働者が安心して申し出できる環境整備が重要
7. プライバシー保護の重要ポイント
ストレスチェック制度では、労働者のプライバシー保護が最重要課題です。
🔒 法律で定められた保護措置
1. 本人同意のない結果提供の禁止
ストレスチェック結果
↓
本人へ直接通知
↓
本人の同意なし → 事業者には提供禁止
本人の同意あり → 事業者へ提供可能
⚠️ 禁止事項
• ストレスチェック実施前・実施時の同意取得は禁止
• 同意は結果通知後、書面または電磁的記録で個別に取得
• 包括同意やオプトアウト方式は不可
2. 守秘義務
実施事務従事者には法律上の守秘義務があります。
- 違反した場合:50万円以下の罰金(労働安全衛生法第119条)
- 対象者:医師、保健師、実施事務に関わるすべての者
3. 人事権者の実施事務関与禁止
- 解雇・昇進・異動の権限を持つ者は、実施事務に関与できない
- 情報へのアクセスも制限される
📊 集団分析におけるプライバシー保護
| 集団の規模 |
取扱い |
| 10人以上 |
本人の同意なく集団分析可能 |
| 10人未満 |
① 個人特定されない方法(平均値のみ等)で実施 ② または全員の同意を取得 |
🗄️ 情報管理の実務
記録の保存期間
- ストレスチェック結果:5年間(実施者が保存、本人同意があれば事業者保存も可)
- 面接指導結果:5年間(事業者が保存)
アクセス制限
- 個人情報管理責任者の設置
- アクセス権限の明確化
- データ保管場所の限定
8. 罰則規定と法的リスク(50人以上)
💡 注意
50人未満の事業場は、ストレスチェック実施が義務化されますが、労働基準監督署への報告義務はありません。以下の罰則は50人以上の事業場のみが対象です。
⚠️ 罰則が適用されるケース(50人以上)
| 違反内容 |
罰則 |
法的根拠 |
| ストレスチェック結果の労働基準監督署への報告をしなかった |
罰則あり |
労働安全衛生法第100条・第120条第5号 |
| ストレスチェックを実施しなかった |
報告義務あり(報告しない場合は罰則) |
同上 |
| 実施事務従事者が守秘義務に違反した |
50万円以下の罰金 |
労働安全衛生法第105条・第119条 |
🚨 重要な注意点(50人以上)
「ストレスチェックを実施しなかった場合でも、報告義務があります」実施しなかったことを含めて報告書を提出しなければ、罰則の対象となります。
📝 報告義務の詳細(50人以上)
- 報告先:所轄の労働基準監督署長
- 報告様式:「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第6号の2)」
- 報告時期:年1回
- 50人未満の事業場:報告不要
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9. まとめ:専門家への相談がおすすめの理由
🎯 ストレスチェック制度実施のまとめ
押さえるべき重要ポイント
- ✅ 2025年法改正で50人未満も義務化(努力義務から変更)
- ✅ 施行日は公布日から最長3年以内(準備期間あり)
- ✅ 年1回以上の実施が必要
- ✅ 費用は全額事業者負担
- ✅ プライバシー保護が最重要(本人同意なしの提供禁止、守秘義務)
- ✅ 外部委託が推奨(特に小規模事業場)
- ✅ 50人未満は報告義務なし(労働基準監督署への報告不要)
🤔 「でも、実際に何から始めればいいの?」
ストレスチェック制度は、法令遵守だけでなく、労働者のプライバシー保護、専門的知識、継続的な運用体制など、多くの要素が求められます。
よくある課題
- ❌ 社内に資格者がいない
- ❌ 関係労働者の意見聴取の方法がわからない
- ❌ 社内規程の作り方がわからない
- ❌ プライバシー保護の具体的な方法がわからない
- ❌ 高ストレス者への対応方法がわからない
- ❌ 集団分析の活用方法がわからない
- ❌ 面接指導を依頼できる医師がいない
- ❌ 法改正の詳細情報が不足している
そんな時は、専門家にお任せください
株式会社こころソリューションは、
ストレスチェック制度の実施から産業医のご紹介まで、
中小企業のメンタルヘルス対策をトータルサポートいたします。
当社のサポート内容
- ✓ ストレスチェック制度の完全代行(調査票配布〜結果通知まで)
- ✓ 2025年法改正に完全対応した実施体制構築
- ✓ 社内規程作成サポート
- ✓ 関係労働者の意見聴取サポート
- ✓ 産業医のご紹介・選任サポート
- ✓ 医師による面接指導の手配
- ✓ 集団分析レポートと職場環境改善提案
- ✓ 労働基準監督署への報告書作成サポート(50人以上)
- ✓ 継続的なメンタルヘルス対策支援
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📚 参考資料・関連情報
本記事は、以下の厚生労働省公式資料に基づいて作成しています:
- 改正労働安全衛生法(令和7年5月14日公布)
- 小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル(令和7年素案)
- 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(令和3年2月改訂)
- ストレスチェック制度実施関係Q&A(令和3年2月更新)
- 職業性ストレス簡易調査票(57項目・23項目)